10月9日に自然環境保全センターにおいて、東京農業大学の安藤元一先生による樹洞性哺乳類の調査&講習会が開催されました。かねてより痕跡はあるものの詳しい調査がなされていなかったので今回の調査はその第一歩となります。

*この講習会は丹沢の緑を育む集い実行委員会により「ボランティア団体活動助成事業」 により開催しています。

〈PM1:00〜PM2:30〉

 まず、レクチャールームにて安藤先生からムササビに関する講義を受けました。プロジ  ェクターや骨格標本を使っての講義はとても解りやすく、樹上性リス科と滑空性リス科の身体的特徴や運動能力の比較、生息樹林の特徴、樹洞の役割など興味深いものでした。

〈PM3:00〜PM5:00〉

 3班に分かれて保全センター野外施設での樹木調査開始。今回行った作業は次の通りです。

1 マッピング作業・・・樹高10mを越える樹木について、地図上に樹種とレーザー距離計で計測した樹高を記録する。

2 それらの樹木に樹洞があれば記録する。(高さ、直径、成因)

3 大木の根元で糞探し

〈PM5:00〜PM5:30〉

 一旦集合し、班ごとに樹木調査報告をしました。その結果、今回の樹木調査では野外施設においては大きな木が少なかった事。ムササビの営巣に適する樹洞もほとんど見あたら

なかった事がわかりました。しかしながらA班から「きれいな樹洞があった。」との報告がありました。

〈PM5:30〜PM6:30〉

 いよいよムササビ観察開始。まずは期待に胸を膨らませ懐中電灯片手にA班の見つけた樹洞へ全員で静かに移動。そして明かりを消し静かに待つ事暫し・・・。残念ながら、今回はこの樹洞からはムササビを確認する事はできませんでした。しかし、ほんとうにきれいな樹洞でしたので、きっと様々な生き物たちに利用されているのだろうと思いました。

 その後各班に分かれて樹木調査をした場所を赤色ライトや懐中電灯で樹木を照らしながらムササビを探しました。残念ながら、ここでもムササビの姿を確認することはできませんでした。

〈PM6:30〜PM7:00〉

 再び集合し、各班から今回はムササビの姿は見られなかったものの、「鹿を見た。」「ムササビの目らしきものを見た」「ムササビの声を聞いた」との報告がありました。また、樹木に掛けられている巣箱のうち、巣材が入っている巣箱があるとの事。ムササビ生息の可能性に期待が持てる調査となりました。

 最後に安藤先生から「調査の結果、生息していないことがわかったとしても、それは生息している所と比較対象してなぜ生息していないのかを研究していくことに繋がる。」というお話がありました。そうして得られた事が成果として役立つのだ。と改めて感じました。次回もし調査があるならばぜひまた参加してみたいと思いました。 

  

 榎本八須子さん

 


 

講義では、樹洞性哺乳類である、リス・ムササビ・モモンガの分布や
体のつくりなどの 基本的なことを教えていただきました。

四肢の形状が樹上歩行能力に影響すると いう話が、特に興味深かったです。
また、実際にモモンガやムササビの骨格標本などを見ることができたので、さらに理解が深まりました。
林の中は様々な生き物や植物がいて、 自然観察をしつつ、調査を進めました。

一本、きれいな樹洞のある樹木があり、 根元でムササビの糞を探しましたが、
見つけることはできませんでした。
 私たちのグループが見つけた樹洞が、一番ムササビがいそうだということで、

みんなで観察をするこ とにな りました。

人間の色覚がなくなったころにムササビは出てくるそうで、みんなで 静かに固唾をのんで

見守りましたが、ムササビはいなかったの か、現れません でした。

その後、各グループで林を歩き回り探しました。夜の林は視覚があまり きかないせいか、

植物の香りなど様々な香りや、みんな が枯れ葉を踏みしめる 音など、

昼間にはあまり気がつかなかったことに気づき、新たな発見ができまし た。

ムササビは見ることができず残念でしたが、 シカを見つけることができ、

 夜の林を満喫できたと思います。  

調査は地道で大変な作業でしたが、続けていくことの大切さを感じました。

保全センターでも続けていけたらと思います。

 

 小松美絵さん



  

今回 この調査&講習会に参加しようと思ったのは

昼間の鳥獣を観る機会は有っても、夜行性鳥獣となると観る機会も少なく

センターのボラで保護されたムササビやコウモリを目にする位です。

探鳥会には参加した事は有りますが、今回は夜の探索と言う事もあり

夜の森に暮す鳥獣を観る事が出来るかと 楽しみに参加致しました。

安藤先生の講義の後、グループに別れ樹洞探索を行いましたが

樹洞を作れそうな木も少なく、環境的に生息するのには厳しいのでは・・・と感じました。

他グループが発見した唯一の樹洞を日没後に観察する事となり

固唾を呑んで見守りましたが、残念ながら住人は顔を出してくれませんでした・・・

夜間観察を終えてセンターへ戻ると 長靴から山ヒルがゾロゾロと・・・

今回の収穫はこれでしたか・・・

でも このヒル達の「執念深さ」は見習わなくては、鳥獣観察には無くてはならない物だと

安藤先生いわく 「今日は残念でしたが、生息しているのか分からないので その為の調査です。

観察したいなら生息場所に行けばいい事 この森と生息域とは何処が違うのかを分析するのも研究です。」

その言葉に大変納得し 充実した一日に思えました。

また この様な機会があれば是非参加したいと思います。

中原豊紀さん 


★次回は樹洞性鳥類の調査を行う予定です。詳しくはHPをご覧下さい。 
						
						
						
		
			
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2011年10月9日

【保全センターにおける樹洞性哺乳類の調査&講習会】