11月5日に東京農業大学 厚木キャンパスにおいて「第8回 野生動物保護セミナー in関東」が5名の講師の方を招き行われました。
今回は野生動物救護の会から渡辺理事長が講師として招かれています。
講義概要
○東京農業大学の安藤先生「ニホンカワウソの絶滅と再導入の可能性」
絶滅した野生動物をとおして自然環境や野生動物の保護・保全のあり方を多方面の問題と絡み合わせた講義内容でした。
○仙石原野生鳥獣クリニックの柏木先生「当クリニックにおける野生鳥獣の保護状況」
救護し治療した動物たちのことを写真と共に話して下さり、放野した時の充実感が伝わって来ました。
○野生動物救護の会の渡辺理事長「傷ついた野生動物と向き合って」
後述します。
○野毛山動物園の正木先生「動物園飼育係から野生動物保護に向けて」
動物園の役割と野生動物保護の実際、野生動物保護の普及啓発の現場としての役割などをわかりやすく説明した内容でした。
○神奈川県獣医師会顧問の中山先生「私たちの周りに見るこわれた自然と野生動物たち」
野生動物にとって、いかに自然環境が大切かを熱く語る内容でした。
その中から安藤先生の講座を紹介したいと思います。
10月9日に救護の会が主催した「樹洞性哺乳類の調査&講習会」で講師をして下さった東京農業大学 安藤元一先生のニホンカワウソの絶滅についての講義はとても興味深い内容でした。
カワウソの新聞記事の掲載件数を人々の関心・関係と関連づけ、その時代的、社会的背景と合わせて日本のカワウソ保護を読み取り分析を行うというユニークな方法を紹介して下さいました。
また、1800年代のヨーロッパにおいて、欧州各国が人為的にカワウソを繁殖させて再導入を試みた際、ドイツのみが自然環境の保全回復を重視することで自然個体群の回復を試みたという興味深い話もありました。、カワウソ減少の根本的原因を解決するといういかにもドイツ的な合理主義が自然保護にも生かされていると言えるでしょう。
Twitterやfacebookなどソーシャルメディアが浸透しだした昨今、具体的な保全保護対策のみならずメディアが果たすことができる役割の大きさを示唆した安藤先生の今回の講座は聞き応えがありました。
救護の会 渡辺理事長の講座は「傷ついた野生動物と向き合って」と題し、野生動物救護の会の紹介や実際の救護活動の様子などの話でした。チョウゲンボウのリハビリの様子や実際の救護活動の様子など時折冗談を交えて聴衆を笑わせつつ、「一頭一羽でも多くの野生復帰を目指して」というスローガンを訴えました。講座後の質疑応答の多さからも学生たちが野生動物救護に高い関心を持っていることが窺われました。
このような野生動物救護関係のセミナーや研修会などへの参加は、より新たな考え方が発見できたり問題意識を持ち続ける糧ともなります。
救護の会ホームページでもセミナー、研修会のお知らせをしていますので、皆様も是非参加をしてみて下さい。
第8回 野生動物保護セミナーin関東の報告