Q:傷ついた鳥や餌を食べていない鳥に補液をするのはなぜですか?
A:鳥の呼吸のしくみは人と違い、より沢山の酸素を体内に取り入れるように「気嚢」というものが発達しています。体温が40度と高く空気の出入りも激しいので肺機能で多くの水分を失います。また、ほとんどの水分は食べ物や体脂肪の代謝の時に得ています。
ですので、病気・怪我をした鳥や餌を食べていない鳥のすべては脱水状態にあると見て良いでしょう。
Q:傷ついた鳥や餌を食べていない鳥に保温をするのはなぜですか?
A:鳥類の標準体温は40度です。小鳥では41度位になります。
病気や怪我をした鳥は体に蓄積されたエネルギーを急速に使っています。それは気温が低くなれば大きくなりエネルギー消費を早めてしまいます。
ですので、余分なエネルギーを使わせないために保温をするのです。一般に26度〜30度位が適温とされています。あくまで目安ですので、鳥の状態を見ながら調節をします。
Q:ヒナではどの位の温度で保温をするのですか?
A:孵ったばかりのヒナは羽毛が生えていませんし、まだ体温を維持する機能が発達していませんので、保温をしないと体温が下がって死んでしまいます。
親鳥の平均体温は40度ですので、最低でも38度の保温が必要です。出来れば温度計で正確に計るのが良いでしょう。
ヒナの死因の3大要因は低体温、飢餓、感染症です。
Q:ヒナを入れている箱がフンで汚れてしまいました。
A:ヒナを育てる環境は温度・湿度が高く細菌が繁殖しやすいので、常に清潔に保つ事が必要です。
細菌が繁殖すると色々な病気になることが多いので、あまりに汚れた箱は新しくするのが良いでしょう。また、下に敷いているティッシュペーパー等も汚れたらすぐに換えるようにして下さい。自然の中で生活していた野鳥を雑菌の多い人間の環境で育てるのですから細菌が繁殖しないように心がけましょう。
野鳥たちも巣をきれいにするために相当な努力をしているようです。
Q:餌は一日にどの位食べるのですか?
A:野鳥を観察している人なら小鳥が一日中餌を探しているのを知っていると思います。餌の種類によって違いますので一概に言えませんので、カロリー換算で言えば次の通りになります。
健康な成鳥は体重1グラムに対して1kcalのエネルギーを必要とします。1グラムの脂肪は9kcal,1グラムの糖は4kcalとなります。渡りを控えている鳥や病気や怪我をしている場合はもっと必要になります。ヒナは体を大きくしなければならないのでこの数値の倍が必要となります。
参考までに、ツバメの場合、親鳥はヒナに一日数百回も餌を運んできます。2センチくらいのミルワームですと巣立ち雛の場合一日に50〜100匹位を食べます。
ちなみに、体重10グラムの健康な鳥は最適な環境の下でも1〜3日以上餌を食べないと死んでしまうと言われています。
Q:夏場だと餌が腐りやすいと思うのですが?
A:すり餌などはとても腐りやすい餌ですので、1日に数回は交換する必要があります。
また、その他の餌でも臭いを嗅いでみて少しでも臭かったら交換をしましょう。腐った餌を与えると感染症や内臓疾患になることがあります。
また、保存のため冷蔵庫に入れておいた物は必ず人肌位まで暖めてからあげるようにして下さい。
Q:病気の鳥を触っても病気がうつりませんか?
A:人と鳥が共通してかかる病気があります。でも、最近話題の鳥インフルエンザでも通常の接触でうつることは大変希です。
ただし、怪我をした鳥の血が人の傷口から入るとか、鼻汁などの粘液やフンが口から入ると病気になる場合もあります。また、猛禽類の爪による傷、クチバシによる刺し傷などは傷口を良く洗い消毒をする必要があります。特に元気が無く、簡単に捕獲された鳥は要注意です。体調が悪い鳥は病原体を排出しやすく、また飼育されると激しいストレスのために病原体の排出が増えることが確認されています。鳥自体が種々の病原体を保有していると同時に、鳥に付いているダニ類がウイルスを保有している可能性が大いにあります。基本的に野鳥を触るときは手袋をはめたり、野鳥を触った手は良く洗う事が必要です。
Q:保護した鳥が餌を食べてくれません。大丈夫でしょうか?
A:餌を食べないといつかは死んでしまいます。
保護した鳥の状態にもよりますが、強制的に餌を食べさせたり、ブドウ糖液等を飲ませたりしなければいけません。餌の食べさせ方がわからない時や、餌の種類がわからない時はクチバシの端にブドウ糖液(砂糖水でも可)を垂らして飲ませ、なるべく早く専門の救護施設や動物病院へ連れて行く必要があります。
Q:餌が全く手に入りません、どうしたら良いのでしょうか?
A:応急処置として考えるのであれば、鳥が生きていくのに必要なエネルギーや水分の補給ができれば問題はありません。ブドウ糖液(砂糖水でも可)・スポーツ飲料や卵の黄身を30分位しっかり固ゆでにして水で溶いた物が代用できます。
Q:保護した鳥が骨折をしているようです、応急処置をしても大丈夫ですか。
A:羽ばたいたり、歩いたりすることで骨折が悪化するようでしたら、翼をきちんと折りたたんで絆創膏で固定するとか、脚を折りたたんで爪楊枝や割り箸で固定した方が良いでしょう。鳥の場合人と比べて早く骨の癒合がはじまります。しかし、誤った処置でくっついてしまった骨を正常の状態に戻すことは困難ですので、処置をしたらなるべく早く専門の救護施設や動物病院へ連れて行く必要があります。
Q:身近で危険な物はありますか?
A:一般家庭には鳥にとって危険な物が沢山あります。
例えば窓ガラス、殺虫剤、コーヒー、紅茶、チョコレート、ココア、食塩、観葉植物、タバコ、その他化学物質等があります。リハビリの飛行練習などで室内を飛ばすときはガラスにぶつからないようにカーテンを引き、危険なのもを食べないように注意しましょう。