GO-1  保護する

巣立ち前の赤裸雛はとてもデリケートです。いざ保護をすると言うことになったら、出来るだけ早く保温をして下さい。温度は38度〜40度です。下の写真ように段ボール箱とお湯を入れたペットボトルで緊急の保温箱が作れます。寒いときには、ホッカイロなどの保温剤の上にティッシュペーパーをたくさん敷き、真ん中をへこませ雛を置きます。ちょうど巣の中にいるような環境を作ってあげます。

HINT!お湯の温度が下がったらこまめに交換をしましょう。

HINT!勘に頼らず温度計で測りましょう。

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GO-2 自然に任せる

野鳥たちは過酷な生存競争の中で生きています。生きる力が弱いものは強いものに食べられます。それを可哀相に思うことは間違いではありませんが、野生に生きる動物たちはそうした生存競争で時には他の生き物を食べ、あるときは食べられ命が受け継がれていることも同時に理解する必要もあります。

兄弟や親鳥が小さく虚弱な雛を巣から落とすということもあります。それによって親鳥は他の雛たちに十分な餌を与える事が出来るようになります。残酷かも知れませんが、このような淘汰は厳しい自然の中で生きる残る知恵でもあります。

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GO-3 仮の巣を工夫してみよう

HINT!巣の中に雛がいる場合、親鳥はかなりの確率で子育てを継続します。

●      ツバメの巣が壊れたり落ちたときは

カップラーメンの容器を半分に切って、壊れた巣を入れガムテープなどで壁に固定します。

ザル、空き容器に巣を入れ宙づりにしても大丈夫です。もし、巣が粉々に壊れてしまったときは藁くずやティッシュペーパーなどを敷き詰めます。

元の巣が高いところにあって梯子をかけても手が届かない時は、雛たちを見せるなどして上手に親ツバメを誘導してあげれば、かなり離れた場所でも子育てをはじめるようです。

根気よく親鳥に戻す努力をして下さい。

●      キジバトの巣が壊れたときは

キジバトはとても雑な巣を作ります。激しい夕立や強風などで巣が壊れてしまうことがあります。底が浅いザルなどに雛を入れ同じ場所か近くの木の枝に固定してあげます。

●     巣がある木を切ってしまったときは

巣を含むまわりの枝ごと出来るだけ近くの木に固定します。

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GO-4  巣に戻す

HINT!巣の中に雛がいる場合、親鳥はかなりの確率で子育てを継続します。

他の兄弟達を驚かさないように戻してあげましょう。

観察しようと巣のそばにいると親鳥は警戒して巣には戻りません。

必ず、十分に離れた場所から双眼鏡などで観察をして下さい。

高いところに巣がある時は無理をせず他の人に相談しましょう。

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GO-5  保温・補液する

HINT!野鳥は人間に触られるのを極端に嫌います。小鳥やキジバトなどは人に触られるとショックで死んでしまうこともあります。注意をして保護しましょう。

衰弱してうずくまって動けず親鳥が全然来なかった時は保護をして下さい。

病気か本当に迷子になり餌が獲れずにいるかも知れません。

また成鳥で外傷もなく、外見も異常がないけれど弱ってうずくまっている時は餌不足や病気かも知れません。また、猫による噛み傷は翼の下、背中、脇腹などに小さな傷痕を残し見過ごされがちです。意外と深い傷を与えていることが多いので注意して探してください。

元気がなく羽をふくらませているのは具合が悪い証拠です。熱中症以外、元気がない鳥には保温・補液が基本です。

下の写真のような箱を作り26度〜30度位に保温をして下さい。

5%ブドウ糖液(砂糖水、蜂蜜を溶かした水でも代用出来ます)やスポーツドリンクをクチバシの端に垂らし飲ませます。

しばらく様子を見ても元気にならないときは、野鳥を診る救護施設・動物病院・役所・保健所へ連絡をして指示を仰いで下さい。

野鳥の知識があって鳥に餌を与えて食べるようであれば与えて下さい。

注意:感染症防止のため弱っている鳥を触ったら必ず手を洗いましょう。

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●        ガラスとの衝突

外傷が無く羽の乱れもなく建物の下で意識を失っている鳥はガラスに衝突した可能性が高いです。鳥の大きさにあった段ボール箱で上の写真のような箱を作り暗くして26度〜30度位に保温をして下さい。

意識が回復したら5%ブドウ糖液(砂糖水、蜂蜜を溶かした水でも代用出来ます)やスポーツドリンクをクチバシの端に垂らし飲ませます。

まわりが明るいうちに元気になったら保護した場所で放鳥出来ます。

夕方で暗くなってしまったら一晩保護をして翌朝放鳥します。

野鳥の知識があれば餌をあげても良いですが、よくわからないときは保温だけでも大丈夫です。

出血があったり意識が回復しても元気がないときは、野鳥を診る救護施設・動物病院・役所・保健所へ連絡をして下さい。外傷が無くても骨折や内臓出血しているかも知れません。

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GO-6  保護した場所へ戻す

私たちの身近に棲んでいる鳥の巣立ち雛たちは上手に飛べません。ほとんどの人は巣から華麗に飛び立つ巣立ちを想像しますが、実際は巣から落ちるようにして巣立つのです。そして少しずつ親鳥から飛び方、餌の採り方、危険な生き物、仲間とのコミュニケーションなどを覚えていきます。

雛たちのため餌を集めるのに必死で親鳥はとても忙しいのです。その間雛は物陰に隠れていたり、好奇心旺盛な雛は人の目につくところに出てきてしまうこともあります。親鳥がそばで見守っているかも知れません、周りをよく見ましょう。雛を呼ぶ鳴き声が聞こえていませんか? しばらく遠くから観察してみましょう。人がそばにいると親鳥は怖がって雛のそばにやってくることが出来ません。出来るだけ親元に帰してあげましょう。

元気が無い鳥が短時間で十分飛べるまで回復したら、出来るだけ早く放鳥をしましょう。

長い間飛ばないでいると、筋力が劣り飛行能力が落ちてしまいます。

巣立ち雛でも一晩保護をしたら元気になったような場合も、保護した場所で放鳥し親鳥がくるのを待ちましょう。人間が雛の近くにいると親鳥は雛に近づけません。観察は十分離れた場所で行いましょう。

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GO-7  応急手当をする

HINT!野鳥は人間に触られるのを極端に嫌います。小鳥やキジバトなどは人に触られるとショックで死んでしまうこともあります。注意をして保護しましょう。

HINT! 怪我をしていても野鳥は逃げようとして攻撃をすることがあります。大型の野鳥を保護するときに自分自身が怪我をしないように注意しましょう。捕獲についてはこちらをクリック

HINT! 野生動物は様々な人に感染する可能性のある病原体をもっています。保護するときには手袋などをして直接触らないようにしましょう。また、血液、糞、羽毛などに触れた手や場所は洗浄・消毒をしましょう。感染症についてはこちらをクリック

HINT! 出来るだけ早く野鳥を診る救護施設・動物病院・役所・保健所へ連絡をして下さい。搬送方法についてはこちらをクリック

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野鳥の様子を観察しましょう

●       出血がある

血が止まっていれば問題はありません。血が出ているときはガーゼ、ティッシュペーパーなどをあててしばらく傷口を押さえます。

●       片方の翼が下に下がっていたり、脚がブラブラしている

極端に翼が下がって自分の脚で踏んでしまうような時は、翼を元通りにたたんで絆創膏など粘着力の弱いテープで止めてあげます。

脚がブラブラしているときも折りたたんで固定します。

いずれの場合も手に負えないようでしたら無理をせず専門の人に任せましょう。

●       クチバシから釣り糸が垂れている

釣り針を飲み込んでいるかも知れません。糸を切ってしまうと針を取り出す手がかりを失ってしまいます。そのまま、保護施設などに搬送して専門の人に診てもらいましょう。

●       体に釣り糸が絡まっている

体に絡まった釣り糸をハサミで切って取り除いてください。鳥が暴れると糸が食い込んでしまうことがあります。出来れば鳥を押さえる人、糸を切る人の2人で作業をしましょう。鳥が元気で傷が無いようでしたら、その場で放鳥しましょう。

●      油、ペンキで汚れている

全身が油やペンキで汚れている時には専門の人に任せましょう。鳥の体力が消耗しないようにタオルでくるむ等保温をして出来るだけ早く救護施設へ運んでください。

また、2次災害を防ぐために保護した場所に油が浮いていないか、他の鳥の様子も観察して被害があるようでしたら県庁の自然保護担当課に連絡をしましょう。

●        お尻のまわりがフンで汚れている

内臓疾患で下痢をしている可能性があります。

フンは鳥の健康状態を知る大切な手がかりです。新しくフンをしたら乾燥しないようにビニール袋に入れて救護施設や動物病院で検査してもらうと良いでしょう。

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